この日は北海道最終日。積丹半島の海岸にあるキャンプができる海岸で一泊した朝、いつものようにバイクを走らせる。
出発の時は苫小牧港に着いたが、帰りは小樽港から夕方出発する。今日は小樽を観光し、お土産を買ってフェリーに乗り込む予定である。
小樽には昼前に到着した。ランチは運河沿いにあるレンガ造りで雰囲気の良さそうなレストランにしようかとお店の前までくると、どうも営業していないらしいということが分かった。すると1台の軽自動車がレストランの前に停まり、おじさんが声をかけてきた。
「この店やってないよ」
そのおじさんの話ではコロナ禍前はけっこう流行っていたらしいが、もう何か月も前から閉まったままとの事である。残念。
近くに回転寿司屋があったので、ランチはそちらにした。
お土産屋が並ぶ通りをぶらぶら歩いていたら、そろそろフェリーの時間になったので、港へ移動することにした。
港へ到着すると、係員にフェリー待ちの列を案内される。列には数台のバイクが既に停まっていて、仲間内で談笑していた。
受付を済ませ、フェリーの出発時刻までターミナルで時間を潰す。
帰りは小樽から新潟までフェリーに乗り、新潟から大阪まで自走することにしていた。新潟行きフェリーのバイクの乗船アナウンスがあり、バイクに乗ってフェリーの船内までゆっくり走る。係員に誘導されるとおりの位置にバイクを止めたら、必要な荷物をもって階段を上がる。
荷物を自分のベッドに置いたらデッキへ行き、いよいよ北海道から船が離れていくのを見届ける。さようなら北海道と心の中で思いながらしばらく外を眺める。
そして来た時と同じように露天風呂を堪能したらお風呂上りの一杯。これが最高である。
煙草を吸おうと喫煙所に行くと、2人のおじさんが談笑をしていた。喫煙所には天井からモニターが吊るされていて画面には現在のフェリーの位置が映っており、神威岬の沖合を航行中だと分かる。
いつしかそこにいた2人のおじさんと私の3人で神威岬の景色が最高だったという話しで盛り上がった。
その後、3人で飲もうということになり、売店で適当につまみになりそうなものを買い、カフェテリアのようなところで飲むことになった。2人のうちの1人が私にお近づきの印にと缶ビールを1本奢ってくれた。
北海道ではどんなところに行ったとかここが良かったという話しで話題が尽きなかった。礼文島にある桃岩荘に行ってみたいという話題になり、私も行きたかったが今年はコロナの影響で営業していないというのを聞いていたので行けなかったというと、2人のうちの1人が自分も行ってみたいと言っていた。是非来年こそは桃岩荘へ。
全く知らない者同士がフェリーの船内で旅の思い出を肴に語りあう。だから旅はやめられない。
何時間経ったか分からないくらい楽しい時間を過ごした。
彼らは関東の方から来ていて、新潟港から関越道で帰るとの事だった。翌朝、新潟港に到着し、彼らと「来年また北海道で会いましょう」と約束をしてそれぞれの帰路についた。
おわり
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